木目のある版画 編集作業中
はじめに いつだったか新聞取材のおり、木目のある版画をいつ頃から作り始め、何点ぐらい作ったかを聞かれ、答えることが出来ませんでした。
いつも新しい作品作りを考え創意工夫と試行錯誤で済んでいました。そこで今度、誰かに聞かれた時は資料の案内が出来るようにと努めてみました。
記憶にも曖昧な所もありますが概ねこのようなことです。何かの参考になれば幸甚です。(1985年~2021年までの画像資料は228点です)
木版画の木目模様に興味をもった最初の作品は、京都の版画家・徳力富吉郎先生の推古仏(弥勒菩薩)いう版画です。いつの日か自分にもこんなに
美しい木目模様の 版画が作れるだろうかと思ったものです。
現在版画制作にはシナベニヤ合板を主版に使用しています。作品によって他の木の種類の版木を用いることで版画の表情が変わります。
この、表情が変わることが「何とも面白く楽しい」ときです。版木の木・合板は材質じょう、硬い・柔らかい・反り・ねじれ・割れ等を考慮し版木として使え
るように用意します。木の入手から加工して版木として使用できるようにするまで、手間暇かかり版木を彫る作業はシナベニヤ合板に比べ何倍も硬く
難儀ですが得られる木目の表情はそれに代わりえるものです。
*画像はクリックすると拡大します。 作品画像から木目を読み取りずらいものもあります。 |
使用した木の名前は赤文字表記で作品上段に記しました。 |
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ラワン合板 ーラワン合板 (ベニヤ) 米マツ合板 ーマツ合板 栓 合 板 -セン合板 杉合板 -杉合板 年輪・槐 - 年輪・エンジュ 年輪・栓 ー 年輪・セン 年輪・黄肌 - 年輪・キハダ |
焼き杉―スギ 栃 ートチ(美濃紙の天日干板) 栗 ークリ 梣 ータモ (トネリコ) 槐 -エンジュ 楡 -ニレ 欅 -ケヤキ 椹- サワラ |
1985年 (昭和60年)
1984年 三重県立美術館で見た「斎藤 清展」の影響は大きなものがありました。 私が始めてベニヤ板の木目を版画に取り入れたのは、版画家・金森世士男氏の湖山シリーズを見てからからです。 たぶん、ベニヤ板を使った版木であろうと思い。1㎝程の厚板両面に耐水性接着材にてベニヤ板を縦目と横目に 貼り、版木を作りました。彫り始めてわかったことですが、かなり彫りずらい版木でした。摺りの効果は縦横の木目が 交差して網目模様となり良い感じが得られました。 |
1990年 (平成2年)
どくだみ(1985年制作)~ろうばい(1990年制作)まで、木目の作品効果を得るためとはいえ、版木を作ったり、 彫ったりの作業の難儀さゆえ、しばらくは木目のある版画制作はしませんでした。 |
1991年 (平成3年)
1992年 (平成4年) 木目の使用作品はありません。
1993年 (平成5年)
岐阜県の美濃紙の天日干板に使用していたトチの板を譲り受けることができ版木に使用しました。
木目のある版画の新しい方向を感じた頃でした。 *板寸法 厚1.5×高218×巾60㎝
クリ 書票 |
トチ・スギ![]() 蟹 |
トチ![]() 奈良井 |
トチ![]() 淡墨桜 |
1994年 (平成6年)
この年制作した「すずめうり」に使用したクリ板の木目模様との出会いが、その後多数のクリ板使用作品につながりました。
クリの木目は硬く繊細で多様な表情があります。
(1997)赤い花ー1 ・ (1998)葱 ・ (2002)白い花ー3は意を得た作品となりました。
ラワン合板 | スギ![]() 謡窯 |
クリ | |
1995年 (平成7年)
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クリ ![]() 野尻 |
クリ ![]() 馬籠 |
筍 | |
クリ RAFU |
1996年 (平成8年)
トチ![]() 蓮根 |
トチ![]() くまがい草 |
1997年 (平成9年)
クリ 白い花(A) | 唐辛子 | 赤い花ー1 | 白い花ー2 |
1998年 (平成10年)
さくら
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クリ 山茶花 | クリ ![]() コスモス |
クリ ![]() 荒島岳 |
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花ー1 | トチ 花ー2 | 葱 |
1999年 (平成11年)
クリ たぬきも | |||
クリ 花菖蒲 | さんしゅゆ | クリ ・ ラワン合板 ![]() 赤城・地蔵岳 |
クリ![]() 長茄子と胡瓜 |
タモ![]() スクナ |
クリ![]() スクナ |
クリ![]() スクナ |
ラワン合板![]() スクナ |
2000年 (平成12年)
この年米マツ合板(90×180㎝)を入手し「かぼちゃ(2)」・「あかかぶ」の制作につながり、またひとつ木目の世界が広がりました。
クリ
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クリ たちばなもどき
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クリ
夕暮れ(A)
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クリ 夕暮れ(B) | クリ・タモ | クリ ・ シナベニヤ合板 アメリカフヨウ |
クリ![]() 青い花ー1 |
トチ![]() 黄色い花ー1 |
マツ合板![]() かぼちゃ(2) |
マツ合板![]() あかかぶ |
独活(2) |
2001年 (平成13年)
この年センの板を使用し「十二神将・寅」の制作につながりました。センの木目は荒々しく魅力を秘めた版木と感じました。
クリ こだちふよう | クリ 夕暮れ(C) | |||
クリ くろがねもち |
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マツ合板![]() キャベツ |
マツ合板![]() 玉かぶ |
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白い花(C) | ラワン合板![]() 乗鞍岳 |
ラワン合板![]() 浅間山(3) |
クリ![]() 岐阜・金華山 |
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クリ![]() 赤い花ー2(挽歌) |
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2002年 (平成14年)
クリ 書票 | クリ 年賀状 |
セン きからすうり |
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セン たらの芽 | トチ ・ ラワン合板![]() 浅間隠山 |
クリ ![]() そら豆 |
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白い花ー3 | 黄色い花ー2 |
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十二神将・丑 |
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マツ合板![]() とうがん(2) |
2003年 (平成15年)
2004年 (平成16年)
クリ 花水木 |
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クリ |
クリ がまずみ |
クリ![]() 浅間夕暮れ |
クリ![]() プラタナス・日暮 |
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クリ![]() プラタナス・空 |
クリ![]() プラタナス・太陽 |
クリ![]() プラタナス・若葉 |
クリ![]() プラタナス・月 |
2005年 (平成17年)
クリ おおべにたで |
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クリ![]() 榛名夕暮れ(2) |
![]() 十二神将・辰
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2006年 (平成18年)
この年、年輪の木目を版木に使用することを思い付き、おそらく未だ誰も木版画の版木として作品制作に使用されなかったとおもいます。
入手したのはエンジュ・セン・キハダの三種です。版木にすることから、彫・摺りと難儀な作業ですが面白さのひとつです。
エンジュの年輪を版木に使用した「まるなす」が最初の作品になりました。
クリ かまきり | |||
マツ合板![]() かぼちゃ(2) |
赤い花ー3 | 年輪・エンジュ![]() まるなす |
クリ![]() あじさい |
エンジュ ![]() 唐辛子ー2 |
2007年 (平成19年)
クリ 座禅草 | |||
年輪・エンジュ とうがらし | セン![]() 浅間山(7) |
ニレ![]() 乗鞍岳(2) |
クリ![]() 座禅草 |
年輪・エンジュ![]() いちご |
セン![]() ポピー(3) |
セン![]() はなしょうぶ |
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十二神将・午 |
2008年 (平成20年)
年輪・エンジュ しゅうかいどう |
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クリ![]() 浅間山 五月 |
セン![]() くり |
セン ・ 年輪セン ![]() 筍 |
セン![]() 十二神将・未 |
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年輪・キハダ![]() がくあじさい |
年輪・キハダ かさね柿(2) |
年輪・キハダ![]() かさね柿(1) |
2009年 (平成21年)
エンジュ おおばまいずるそう | エンジュ みぞそば(2) | |||||
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セン![]() 御嶽山(2) |
クリ![]() 八ヶ岳 |
2010年 (平成22年)
この年、セン合板(90×180㎝)を入手しました。板からの寸法取りが自由になり木目の取り方が面白くなりました。
「ぜにあおい」・「熱田さんの信長塀」から制作が始まります。
クリ しなれんぎょう | クリ 朝顔 | クリ うめ | |
セン合板 ![]() 熱田さんの信長塀 |
2011年 (平成23年)
セン合板 みつばあけび | セン合板 | ||
セン合板![]() 名古屋城 2011年 |
セン合板![]() 鶴舞公園 2011年 |
セン合板![]() だいこんの花 |
こまつなの花 |
立葵(2) |
セン合板 ![]() 立葵(1) |
2012年 (平成24年)
やぶつばき | セン合板
えんどう
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空の下・カサブランカ | |
セン合板![]() 空の下・こだちふよう |
2013年 (平成25年)
ケヤキ ねこじゃらし | |||
セン合板![]() 空の下・アメリカデイゴの花 |
年輪・セン![]() ペポカボチャ |
年輪・セン![]() 五つの赤いりんご |
2014年 (平成26年)
セン合板 嫁菜 | クリ 雨ニモマケズ | ||
セン合板 寒椿 | マツ合板 サクランボ | 年輪・セン![]() 野菜物語 |
春よ来い |
セン合板![]() 若狭浜菊 |
2015年 (平成27年)
白根山の石楠花 |
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2016年 (平成28年)
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セン合板 蓮池・春夏冬 |
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クリ ・ マツ合板 冬だいこん |
2017年 (平成29年)
年輪・セン 夏の日 | セン合板 | ラワン合板・セン合板 空の下・椿 |
2018年 (平成30年)
セン合板 白い花菖蒲 |
杉合板 シクラメン―1 |
杉合板 シクラメン―2 |
セン 黄水仙 |
さわら |
2019年 (平成31・令和元年)
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セン合板 ハロウイン |
2020年 (令和2年)
2021年 (令和3年)
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